2019/05/13 Mon,
高地トレーニングについて
こんばんは。AXISの山田です。
今回は高地トレーニングについて紹介します。
高地トレーニングとは、人間の環境への適応能力を活かし、運動能力向上につなげるトレーニング方法です。
高地とは、低圧、低酸素、低温の環境のことで、効果的な標高は1500~3000mとされています。高地では酸素濃度が薄いため人間の体は酸素を取り込みにくくなり、血中の酸素濃度が低下します。体は環境に適応した酸素濃度を確保するために、体内で赤血球数やヘモグロビン濃度を増加させます。この体の適応能力を活かして結果につなげることを目的としています。
高地トレーニングのメリット
競技特性に合わせたトレーニングを行うことで、さまざまなメリットが期待できます。
酸素運搬・消費力のアップ
低酸素の環境は、人間の酸素運搬機能に影響を与えます。酸素を十分に行き渡らせるため、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンと、筋肉中に酸素を運ぶミオグロビンが増加します。高地に比べ十分な酸素のある平地に戻ると、以前よりも酸素の運搬能力や筋肉での酸素消費能力がアップしているので、パフォーマンスの向上がみられます。
持久力のアップ
全身持久力を計る指標として、1分間で体内に摂取できる酸素量を量る「最大酸素摂取量(VO2MAX)」というものがあり、この値が高いほど持久力が優れているとされます。
高地でトレーニングを行うことで、酸素の運搬能力・筋肉での酸素消費能力が高まり、最大酸素摂取量が向上します。
また筋肉への酸素供給が十分に行われるため、全身持久力と共に筋持久力も向上する効果が期待できます。
高地トレーニングのデメリット
高地では平地以上に疲労回復に時間を費やします。
体調の変化が著しく、睡眠にも影響を及ぼすことがあります。通常より多めに睡眠を取り(8時間以上が望ましい)、コンディションを整えてトレーニングすることをおすすめします。
また、高地に順応しきれていない期間は、平地でこなせていたメニューがこなせなくなるなど、酸素の薄さに影響される部分が多数出てきます。筋肉への血流が十分ではないために引き起こされる影響も多数ありますので、トレーニング強度には十分注意してメニューを考えましょう。
高地トレーニングの方法
種目・トレーニング内容などによって適切な方法が異なります。
高地の環境に慣れるための個人差は大きく体調を崩しやすくなるため、初回は比較的短期間で行うことが望ましいです。
短期的高地トレーニング
3泊4日から1週間程度で行われることが多いです。長期滞在では体調を崩しやすい標高2300~2400mクラスでも、短期であれば効果的な標高とされています。
短期トレーニングでは、下山後2~3日でパフォーマンスアップが期待できるでしょう。
長期的高地トレーニング
3~6週間を目途に行われます。スピード練習を行う場合は、標高1500~1600mに滞在し、さらに標高の高いところでのトレーニングを組み合わせることが多いです。また、滞在とトレーニングを同じ標高で行う場合は1800~2000mが適しているとされています。
高地では最初の数日で脱水が進みやすく、3~5日目が体に一番のストレスがかかる期間といわれています。高地順応期間も個人差があるため、第1週は順応期間としてトレーニング負荷を軽めにして体を慣らしていきます。
2週目にトレーニング量を最大にして、その後は量ではなく、トレーニングの強度をだんだん増やしていくのが一般的です。下山前4~5日間は平地へ戻る前の回復期としてあてます。
下山後5~6日後に最も結果が出やすいという報告がありますが、平地に戻り高地での疲労が取れた時点で好記録が生まれる可能性が高いといわれています。
まとめ
人間の環境への適応能力を活かし、結果につなげるのが、高地トレーニングの最大の特徴といえるでしょう。競技種目や目的に合わせ、適切な負荷・期間を設定して行いましょう。
平地ではかけることのできない負荷をかける分、体の能力を引き出すことができます。高地トレーニングの特性を上手に利用して、パフォーマンスアップにつなげていきましょう。